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なぜ世界は中国や台湾でものづくりを行うのか?

  • 執筆者の写真: 株式会社DIVERT NEWS
    株式会社DIVERT NEWS
  • 7月15日
  • 読了時間: 5分

AppleやNVIDIAがモノづくりをアジアで行う理由

なぜ世界は中国や台湾でものづくりを行うのか
なぜ世界は中国や台湾でものづくりを行うのか

1. 圧倒的な製造インフラとサプライチェーンの集積


中国や台湾では、部品調達から組み立て、物流、試作、品質管理、量産まで、製造に関わるあらゆる工程が地理的に密集しており、必要な資源やサービスを迅速に調達できる環境が整っています。たとえば中国の深圳(シンセン)には、町全体に電子部品の卸売市場が広がり、何万ものサプライヤーと直接取引できる体制が確立されています。

こうしたサプライチェーンの集中により、試作品開発から量産へのスピードが劇的に向上します。AppleのCEOであるティム・クックも「中国には、高度な工具操作技術と、それを扱える熟練労働力が他に類を見ないほど集まっている」と述べており、単なる地域性や低コストだけでなく、技術集積こそが最大の魅力であることを認めています。


2. 労働力の豊富さと柔軟さ、コストの最適化


中国や台湾が製造拠点として選ばれる背景には、豊富で柔軟な労働力と、製品の特性に応じた最適なコスト設定が可能な点があります。

たとえば中国では、都市部の人件費は上昇しているものの、内陸部との間に大きな賃金格差があり、依然としてコスト競争力は高い状況です。また、極端な貧富の差により、製造現場では安価な労働力を確保しやすいという事情もあります。さらに、労働時間や生産体制の柔軟性にも優れ、急な需要増に応じて24時間体制での増産が可能です。

Appleはこの柔軟性を活かし、深圳や鄭州に代表される巨大工場群を用いて、わずか数日で数百万台規模の出荷体制を構築しています。また、台湾ではTSMC(台湾積体電路製造)をはじめとした高度な半導体製造能力が整備されており、NVIDIAの最先端GPUの製造も担っています。

台湾は高付加価値製品の設計と製造において、技術力とコストのバランスが非常に優れており、品質管理や信頼性の面でも国際的に評価されています。こうした環境により、AppleやNVIDIAのような世界的ハイテク企業が、中国・台湾を重要な製造パートナーとして選ぶ理由が明確になります。


AppleやNVIDIAがモノづくりをアジアで行う理由
AppleやNVIDIAがモノづくりをアジアで行う理由

3. 技術力の向上と設備投資 – 世界のハイテクを支える製造拠点


台湾は半導体や精密機器分野で世界的地位を確立しており、とりわけTSMCは、世界最高レベルの半導体ファウンドリとして知られています。AppleのMシリーズチップやNVIDIAのGPUといった最先端プロセッサ(3nmや5nmプロセス)の製造を担い、世界のハイテク産業を支える中核的存在です。

一方、中国も国家主導の戦略的投資により、EV(電気自動車)、ドローン、通信機器、バッテリーなどの分野で技術力を急速に高めています。AIや自動化技術の分野でもその台頭は著しく、もはや中国・台湾は単なる「安価な製造拠点」ではありません。

高度な技術力と生産スピード、熟練人材の確保、そして最先端設備の導入により、「技術的に信頼できるパートナー」としての地位が確立されています。


4. 柔軟な規制と迅速な対応


日米欧と比較して、製造に関する規制が柔軟であり、拠点立ち上げや設備投資のスピードも早いという点は大きなメリットです。行政手続き、土地取得、労働調整などが迅速に進められるため、「スピーディに量産体制を整えたい」企業にとって理想的な製造環境が整っています。働き方改革などという言葉が無いがゆえ、無謀な労働集約で簡単に乗り切ることが出来るのです。


世界が東アジアに託す理由
世界が東アジアに託す理由

5. 日本の製造業が直面している課題


かつて「ものづくり大国」として世界をリードしていた日本ですが、現在では人手不足、設備投資の遅れ、保守的な経営体質といった課題が顕在化し、価格競争力や生産の柔軟性において中国・台湾に後れを取るケースが増えています。

日本の製造業が依然として技術力や品質管理において世界的評価を得ているのは確かですが、特に中小企業では、コスト対応力や海外展開力に限界があるため、企業は国内製造にこだわらず、より柔軟で合理的な選択肢として中国や台湾にシフトしているのが現実です。


6. 世界が東アジアに託す理由 ― 製造の地殻変動


こうして見てくると、中国や台湾が世界の製造拠点として君臨し続けるのは、単に「安価だから」ではなく、スピード・スケール・精度・柔軟性といった、グローバル企業が求める製造要件を最も高い水準で満たしているからに他なりません。

中国の深圳や鄭州には、製品設計から試作、量産、出荷までをわずか数日で完結できる体制が整っており、その生産スピードと柔軟性は他国では再現が難しいものです。台湾においては、TSMCをはじめとする世界最高峰の半導体製造技術が集約されており、AppleやNVIDIAのようなテックジャイアントにとっては戦略的に不可欠なパートナーとなっています。

一方で、日本は品質や技術力において今なお世界トップクラスでありながら、人材不足や規制の硬直性、スピード感の欠如などにより、その競争力を発揮しにくい構造に陥っています。

製造業のグローバル化が進むいま、「どこで作るか」はビジネスの成否を左右する重要な判断です。その中で、コストだけでなく“製品の完成度と市場投入までのスピード”を重視する時代が来ているのです。


中国での製造や調達をご検討中の企業様は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。現地のネットワークと実務経験を活かし、最適なモノづくりをご提案いたします。

 
 
 

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